藤田麻衣子 ドロドロベスト5 「運命の人」
このブログの目的の一つは、
シンガーソングライター藤田麻衣子さんの魅力を伝えるということだ。
彼女の魅力をあげるとすれば、
切ない声、
小柄でかわいい、
絵が上手い、
etc・・・
しかしやはり、彼女の一番の魅力は、
自分が彼氏ならば、震え上がるほどのヘヴィーな詞であろう。
そこで今回は、特にヘヴィーな曲を5曲紹介してみたいと思う。
1.運命の人
「大丈夫、いつもちゃんと笑ってるよ」
冒頭からすでにヤヴァイ香りがプンプンする。
「誰といても何か足りない」
「あけた窓から見えた満月」
この部分は少し違和感を感じる。
文字数を揃えるだけなら、
「とじた窓から見えた三日月」
としたほうが、前の文と統一感が出そうなものだが、
実際には、「足りない」、「満月」、とつながる。そしてその後、
「抑えた気持ち、また騒ぎ出す」
とつながる。
ここまでをワンセンテンスと考えるなら、
自分の気持ちを抑えられない、でもそれをちゃんと伝えられない
ということを表現したものだと解釈できる。
一応言えてるんだけど、ちゃんと伝えられないというのは、なかなか切ない状態であろう。
もし誤解がうまれてしまえば、最初から何も言わないほうが良かったと、後悔につながるパターンになるからだ。
「どんな未来だとしてもあなたはわたしの、運命の人」
もしこの部分にメロディーがなければ、ホラー以外の何者でもないであろう。
しかし、音楽的にみれば間違いなくこの部分が一番イイところであり、この部分こそがこの曲の核といってもいいであろう。
そこによりにもよって一番ヘヴィーな言葉をぶっこんでくるとは、まさに脱帽である。
麻衣子節と言ってもいいであろう。
そもそも、タイトルである「運命の人」という言葉。本来なら幸せな情景を思い浮かべるような言葉であるのに、救いのないストーリーが展開されている。
「運命の人」という言葉の可能性を押し広げた、画期的な楽曲であることに疑いの余地はあるまい。
「また騒ぎ出す」という一節から、何度も自分を抑え込もうとしている様子がわかる。不倫や浮気など、禁断の恋である可能性もある。
しかしそういったものにこそ人は魅力を感じるものだ。その葛藤こそがこの楽曲のキモになっている。
「あなたほど好きになれた人はいないの。ねぇ、見抜いてほしい」
ねぇ、見抜いてほしい
このくだりを見てぞっとしたのは私だけではあるまい。
女性のしたたかな部分が顔を覗かせている。このような顔は、人様に見せないようにするのが普通であろうが、麻衣子さんはさらけ出している。
「ちゃんと笑ってるよ」
「ねぇ見抜いてほしい」
この強がりと弱さのバランス感覚!ハンパない。
ここに麻衣子さんの唯一無二の個性があると私は考える。
この曲は麻衣子さんの個性を語る上で、欠かすことのできない曲の一つであろう。
つづく。