最近の日本の文学に物申す
ごきげんよう。管理人の吉岡です。
私はたまにだが本も読む。
特に村上春樹が好きだ。
日本の文学、特に最近の本は、とにかくドラマ化や映画化がしたいという下心が見え見えのものが多い。
あまりファンタジー要素がなく、日常生活系の話が多い。(CGを使わなくていいから)
そして日本人特有のものだろうか、話が最初から最後までずっと面白いのだ。
それはいいことのようにも思えるが、ガチガチに固めすぎてるから、読んでいて疲れてくるのだ。
私が最近読んだ本でいうなら「R帝国」だ。
最初から最後まで面白すぎるから、段々と肩が凝ってくる。
間違いなく面白いのだが、読む時に気合を入れなければならない。
ちょっと暇つぶしに読むか、、、とはならないような本だ。
つまり、読み終えた後、面白かったなと思うのだが、また読み返したいと思える本があまりないのだ。
外国の文学は適度にジョークなどの遊び心がが入っているので、また読み返したくなる。
そして一番悲しいのが、文章がひどいものがわりとたくさんあるということだ。
私が最近読んだものでは、「君の膵臓をたべたい」「コーヒーが冷めないうちに」は文章がひどかった。
話自体は面白いのだが、文章があまりにおそまつなので、あまり話に入り込めなかった。
この2つは登場人物が死ぬ場面があるのだが、そういった場面の文章が下手だと、泣かせにきているのかと我に返ってしまう。
文学において、話が面白いという事と、文章がうまいという事は別問題なのだ。
このレベルの文章の作品がヒットするとは、日本の文学のレベルが恐ろしく落ちていることを意味しているのではないか。
「億男」という本は文章がしっかりしていた。
この作品の作家は映画監督もしているらしいので、起承転結がはっきりしていて話がわかりやすかった。
そういったなかで、やはり村上春樹の文章はとてつもなく完成度が高い。
多少白々しいところもあるが、続きが気になるような文章を書くのがうまい。
そして適度に、あまり意味のないような比喩を入れたりして、文章ががちがちにならないようにしている。
芸術においては、完璧に作ること=完成度が高い、ということにはならない。
昨今の日本は本離れが叫ばれて久しい。
ドラマ化や映画化して、原作に興味を持ってもらうという、いわば逆輸入のようなやり方でなければ、あまり知名度のない作家は食べていくのが難しいのだろう。
これからの時代はものを作り出すだけでは生きていけない。
ものを作り出し、それを求めている人を探し、届けるというプロセスまでデザインして初めてアーティストになれるのではないだろうか。