Story of my life

日常に転がる疑問を掘り下げるだけ掘り下げて放置

レイモンド・チャンドラー「Long goodbye」

あらすじ


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主人公の私立探偵フィリップ・マーロウはひょんな事からテリー・レノックスという男と出会う。


レノックスは金持だが浮気者のシルヴィアという女性と結婚していたのだが、ある日シルヴィアは何者かに惨殺された。


レノックスは何か事情を知っているはずなのだが何も語らず、マーロウも何も尋ねることなく二人は友情関係を終えたように見えたが、さらなる事件がマーロウを襲い、事件は予想外の展開を迎えるのだった…


感想


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私がかつて初めて最後まで読み上げることができた長編小説「ロング・グッバイ」を久しぶりに読み返してみた。


最後の部分が衝撃的だったことをなんとなく覚えている程度だったが、改めて読み直してみるとこんなに面白かったのかと衝撃を受けた。


なんといっても、主人公マーロウの頑固さとひねくれ具合が魅力だ。出会う人物をことごとく不快にさせたりバカにしたりして、いらぬ苦労を重ねているようにも見えるが、本人はそれを楽しんでいるようにさえ見える。


マーロウとレノックスの付き合いはそう長くはないのだが、気が合うのか独特の友情で繫がっている。


レノックスはシルヴィアを殺害する動機があり、しかもマーロウは行方をくらます手助けをした。


この小説はひどい目に合いながら、時には自らいざこざを起こしつつも、レノックスの無実を証明するために、マーロウはあらゆる手を尽くすという物語だ。


レノックスの無実を信じ、
自ら留置所に入ったり、
ギャングに狙われたり、
アル中に絡まれたり、
美女に誘惑されたりしながらも、

 

最後には真相にたどり着くマーロウの姿には、愛しささえ感じてしまう。

 


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「自分、不器用ですから」的なある意味古き良き時代のサムライ的なマーロウのやり方に、「もうそこら辺で妥協しときなよ」と心配になる場面がいくつもある。


しかし我が道を突き進むマーロウという変人にいつのまにか感情移入してしまうのは私だけではないだろう。


マーロウの周りにいる人物がバッタバッタと死んでいくという、名探偵コナンの元ネタ的なアレだが、無関係に思えたいくつもの事件が全て繋がり、最後には衝撃の事実が浮かび上がるのだ。


脇を固める人物も「クセが強い!」と叫びたくなるような連中ばかり。


少々長いし人間模様が複雑なので難しい場面もあるが、これぞ推理小説といった最後に仕上がっている。推理小説の古典「Long goodbye」見ものである。