手紙
お元気ですか?
私は相変わらず、バカやってます。
体の弱いあなたは、また風邪を引いているのかも。
繋がっているような、繋がっていないような私たち。
何をしてあげたいのだろう。
何をしてほしいのだろう。
花火の終わった祭りの後、電車の中で私たちは手をつなぐ。
何かを伝えたような、伝えてないような場面で目が覚める。
玄関のベルが鳴り、ドアの向こうにふてくされた顔であなたが立っている。
私は何も聞かずにおかえりと言う。
あの頃とひとつだけ変わったことは、あなたがちいさな女の子を抱いているということ。
あなたと同じように肩を揺らして笑う、その子の暖かな重み。
あなたと一緒に生きる道を選んでいたら、あなたの大切さはわからなかった。
あなたと別の道を歩んでいったから、あなたのことを大切に思えた。
あなたが教えてくれた。
失うことでしか、本当の意味を知ることができないのが愛なのだと。