返信
お元気ですか?
私はこの子のおかげで、止まることのない毎日を送れています。
その楓のような手のひらが、私の幸せ。
選んだ道と選ばなかった道が、結局どこかで繋がっていて、私は今日も生きている。
私は少し痩せて、あなたは少し自由になった。
どこにでもあるような道を進み、たどり着いた電波もつながらない浜辺。
夜の街頭の下で読む手紙は、もうぼろぼろになっている。
目も合わせられずに歩いた砂浜の上に、汚れた10円玉のような月が浮かぶ。
ここにいるのが私ではない誰かなら、きれいな物語だと思えるのに。
あなたが教えてくれたこと。
失うことによって知ることができたのは、自分の愚かさだけだと。