カズオ・イシグロ「日の名残り」
主人公スティーブンスは現役の執事だが、年齢による衰えの為か、些細なことだが、若い頃には考えられないような過ちをするようになってきた。
そんな時、かつて共に働いていたミス・ケントンからの手紙が届く。その手紙には、共に働いていた頃が懐かしいと書かれていた。
時を同じくして、主人であるファラディが旅行へいくというので、スティーブンスも少しの休暇を与えられる事となった。
いい機会なのでスティーブンスは旅行へ行く決意をする。そしてその旅の道中、ミス・ケントンに会う約束もとりつける。
旧友ミス・ケントンとの再開、かつて仕えた英国紳士ダーリントン卿への思い、旅路の果てにスティーブンスが出した答えとは…
見どころ
・ミス・ケントンとの再開
スティーブンスはかつてバリバリできる男だったのだろう、小さなミスが少しずつ増えてきて自分が歳をとったことを思い知る。
そんな折、かつて共に働いていたミス・ケントンから手紙が届く。優秀な女中頭だったが、結婚し屋敷を去ってから数十年。彼女との再開はスティーブンスにどんな影響を与えたのか。
・かつての主人ダーリントン卿
かつて仕えていたダーリントン卿という人は、アマチュアだが英国に影響力を持った人であった。
英国を陰ながら支えたダーリントンに仕えてきたことが、スティーブンスにとって一番の誇りである。旅の同中、ダーリントンへの想いが鮮明に蘇る。
・旅路の途中で出逢った人びと
旅の最後、スティーブンスは自らの能力がもはやかつてほどなくなってしまったことを憂いていた。そんな時、見ず知らずの男に「一日のうちで夕方が一番いいんだ」と言われる。
その言葉で、スティーブンスは自らの役目を悟る。
カズオ・イシグロとは?
カズオ・イシグロは、幼少期に少しだけ日本に住んでいただけなのですが、日本人がノーベル文学賞を取ったという事は我々にとっても嬉しい事です。(国籍はイギリスですが、両親共に日本人)
この小説は、ダーリントン卿への想いにかなりのページを割いています。スティーブンスの言葉遣いがきれいなのでわかりづらいですが、未練タラタラのネガティブ男のようです(笑)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05/01
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