ヘルマン・ヘッセ「車輪の下」第一章
あらすじ
ごくごく平凡な、というよりクソ田舎の村に生まれた神童ハンスの物語。
その村から特別の才能を持った人は今まで生まれたことがなかった。彼の父親もごくごくありふれた商人だ。
そんな田舎の村に神が降臨したのだ。
ハンスは並外れた頭脳のほかはごく普通の少年だった。とはいえ大きな才能には大きな責任が伴うもの。
釣りをしたり泳ぐのが好きで、うさぎを飼ったりして田舎暮らしを楽しんでいたのだが、その才能に気付いた大人たちは、彼を文字通り机に縛り付けたのである。
この小さな村で出世する方法は唯一、街の神学校へ通うことだ。その試験の為に、彼は血の滲むようなスパルタ教育を受けることになった。
釣りも泳ぎも禁止され、かわいいうさぎも取り上げられたハンスを思うと涙を禁じ得ない。この部分を読んでいて思った。
凡人でよかったー!!!
どこからどう見ても凡人の私。こたつでゴロゴロするのが好きな私にはとても耐えられない仕打ち…
話がそれた。そんなこんなで一年間みっちりと机と鉛筆の友達になったハンスは、いよいよ神学校の試験へと向かうのである。
先程も言った通り、ハンスは頭脳以外は普通の少年だ。周りの大人たちにびくびくし、あまり友達も多くなく常に不安に苛まれ、勉強疲れから慢性的な頭痛に悩まされている可愛そうなハンス…
ハンスが昔のことを懐かしむ描写がある。「子どものころ野原を駆け回ったり釣りをして遊んだことが遠い昔のことのように感じられたetc…」
いや、お前今でも子供だから!
というツッコミを入れたくなったが、それほどハンスは追い詰められていたのだ。
小さい子供にとっては、大人たちに守られているのか監視されているのかわからない狭い世界が全てなのだから…