底なしの闇と戦慄 コールドプレイ「静寂の世界」
今回紹介するのは、イギリスのロックバンド、コールドプレイの2ndアルバム「静寂の世界」です。
「静寂の世界」という題名は邦題であり、原題は「A Rush of blood to the head」です。
コールドプレイのデビューアルバム「パラシューツ」は世界で大ヒットしました。
デビューからいきなり世界に衝撃を与えたアルバムを出し、否応なしに期待されるというプレッシャーのなか発表された今作は、なんと前作をさらに上回る売上を記録するという金字塔をうち立てます。
音楽性
原題を直訳すると「頭に血が登る」ですが、その原題とは裏腹に、とてつもなく不気味で夜中に聴いていると背筋が凍りつきそうなアルバムです。
最近のコールドプレイは、カラフルで明るい感じの曲を多く作るようになりました。
しかし、1stと2ndはとてつもなく暗いです。
とはいえそれはネガティブな暗さではなく、孤独や静寂の美しさを表現しているため、どうしてもテーマが暗くなっているだけなのです。
悲しい響きの歌ではありますが、美しく、とてつもない広がりを感じるサウンドです。
そして初期のコールドプレイは、まだまだ荒削りでインディーロック的なアレンジなので、それ故にストレートな感情が感じ取れます。
私はどちらかというと、完璧に計算されたアレンジより、無骨で洗練され過ぎてないアレンジが好きなので、そういったサウンドが好きな人にもおすすめです。
バンドには2種類あります。
一つは、時代に求められている、時代に合っているバンド。ビートルズなどが典型です。
もう一つは、時代背景に全く関係なく、突然変異的に現れるバンド。
コールドプレイは間違いなく後者でしょう。流行りや時代などを全く無視した独自のサウンドなのです。
特徴のおさらい
1.暗く、静かで、美しい歌
2.無骨なインディーロックサウンド
3.同時代でどのバンドにも似ていない
まとめ
コールドプレイは大ヒットしたがゆえに、最近ではカラフルで明るい歌を作ることが多くなりました。
もちろんそれはそれでいいのですが、1stと2ndにしかない静寂と美しさは今では聴けなくなってしまいました。
今の時代には明るくて、ノリがよく、パーティーで聴きたいような曲が求められているのかも知れません。
しかし部屋を暗くして、一人で聴く音楽も悪くありません。
それは孤独な行為にも思えますが、美しい音楽は、孤独も悪くないと思わせてくれる、そんな魔力を持っています。
The Scientist
めっちゃいいバラード。
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